研究概要


■ArcGISダウンロードサービスとは

 本学では,文部省科学研究費「地理情報科学の教授法の確立 −大学でいかに効果的にGISを教えるか−(研究代表者:生命環境科学研究科・教授 村山祐司、研究期間:平成17〜20年度)」における活動の一環として,地理情報システム(ArcGIS)のキャンパス・ライセンスを取得致しました.これに伴い、学内ネットワークに繋がれたコンピュータ(Windows NT 4.0/2000/XP)であれば,ライセンス・サーバー gis.sk.tsukuba.ac.jp(130.158.98.235)を参照することによりArcGIS 9.0および9.1(ArcViewおよびエクステンション全て,ArcSDE,ArcIMS、ArcPad等)を自由にインストールして利用することが可能です.

 ただし,それぞれの組織のネットワークの状態にも依存しますので,安定したライセンスの発給を保証するものではなく,研究活動の一環であるためサポート等を行うことも出来ません.また,ダウンロードに際して登録していただくアドレスは,利用者のメイリング・リストとして管理され,使途などについてアンケートに協力頂く場合がありますことをご了承の上,本ソフトウェアを研究・教育・学習に存分にご活用下さい.

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■研究目的・意義等

  1. 研究目的および目標
  2. 意義および独創性
  3. 関連研究中での位置づけ

■研究計画・方法

  1. 研究計画と方法(平成17年度)
  2. 研究計画と方法(平成18年度)
  3. 研究計画と方法(平成19年度)
  4. 研究計画と方法(平成20年度)

■研究目的・意義等

  1. 研究目的および目標

       今日,GISはツールとしての地理情報システム (Geographical Information Systems) からサイエンスとしての地理情報科学 (Geographical Information Science) へと進化を遂げつつある.この新しい分野を推進するには,人文地理学はもとより,自然地理学,社会工学,都市・地域計画学,地図学,地誌学,測量学,情報科学,認知科学など隣接諸分野が連携を強化することが不可欠である.米国や英国の大学では,分野横断的な研究を深化させ,一致団結して学問としての地理情報科学の構築とその効果的な教授法の確立に努めている.これに対し,日本では,地理情報科学の推進にあたって欠かせない文理融合,すなわち人文・社会科学と理学・工学との連携が進んでおらず,蛸壺的に当該専門分野がそれぞれの立場で分析ツールとしてのGISの有効性を強調するにとどまっている.研究面はともかく,教育的側面は欧米に数段遅れを取っていると言わざるを得ない.
     以上の状況をふまえ,本研究は日本における地理情報科学の体系的な教授法を構築するとともに,科学としての理論的枠組みを提示することを目的とする.高等教育では,講義に加え,演習,実習,野外調査などを有機的に結びつけることが必要であり,このプロジェクトでは広い視野にたってGIS教育のあり方を検討したい.4年間の研究を通じて,全国の諸大学に導入されうる普遍的な教授法を提示し,転移性のあるガイドラインを作成することをめざす.

  2. 意義および独創性

     欧米の大学では,地理学科を中心にGISの講座が設置され,充実したカリキュラムが組まれるようになってきた.これに呼応し,GISの教育用ソフトウェア,コアカリキュラム,教材,概説書などが次々と出されている.さらに,ワークショップやセミナーなどを積極的に開催して,GISの普及と啓蒙に努めている.わが国でも,GIS関連科目の新設が増え,GIS教育に対するニーズが高まっているが,残念ながらハード的にもソフト的にもそれを支援する体制が十分に整っていないのが実状である.日本製のGISソフトウェアは数少なく,テキストも数えるほどしか出版されていない.GIS教育は直ちに取り組むべき喫緊の課題である.
     地理情報科学は,「空間データを系統的に構築,管理,分析,総合,伝達する汎用的な方法とそれを諸学問へ応用する方法とを探求する科学」である.この定義が示唆するように,地理情報科学の教育を包括的に推進するには,隣接諸分野の英知を結集することが肝要である.本プロジェクトは,総合科学として実績のある地理学を中核に,空間解析,都市・地域計画,リスク工学,立地分析など隣接諸分野の第一線の研究者により編成されている.共通部分としての基盤分野と各専門領域への応用分野の2段階構成による教育システムの効率化および体系化することを目標としている.地理情報科学の体系化は,単一の学問分野ではなし得ない,多専門性が要求される一種の「合わせ技」と考えられ,ここに本研究の学術的意義を主張したい.

  3. 関連研究中での位置づけ

     合衆国では,NCGIA(国立地理情報分析センター)が1990年代初頭より,GISコアカリキュラムの策定に取り組んできた.また,UCGIS(地理情報科学の大学連合)はGIS教育用ソフトウェアの開発やトレーニング,ワークショップを定期的に開催しながら,GIS教授法の研究を進めてきた.ヨーロッパではAGILE(ヨーロッパ地理情報協会)が同様の研究を推進してきた.本研究プロジェクトは,基本的にはこれら欧米の先進的研究の延長線上にあるが,欧米とは異なる日本独自の教育課程の作成を目論んでいることを強調しておきたい.日本では,地域メッシュや住宅地図をはじめ,欧米にはない空間データを保有する.また,欧米の住居表示は道路方式であるが,日本では街区方式を採っている.カーナビゲーションやインターネットの社会への普及は欧米を凌駕する.日本と欧米では,文化や都市構造,自然環境,そして都市・地域計画のあり方も異なる.欧米のGIS教育とは一線を画する日本独自の枠組みと発想が必要なことは明らかである.本研究では,GIS教育の理念,目標,内容,効果などを検討しながら,日本独自の新しいGIS教育「学」の構築をめざすとともに,技術論,教材開発,指導例といった実践的課題にも積極的に取り組む.

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■研究計画・方法

  1. 研究計画と方法(平成17年度)

     本研究は,地理データを系統的に構築,管理,分析,総合化,伝達する汎用的な方法とそれを諸学問へ応用する方法を探求する学際的な科学としての「地理情報科学」を対象に,大学における地理情報科学の効果的な教授法を確立することを目的としており,(1)地理情報科学(GIScience)の教授法の開発,(2)地理情報科学の教育コンテンツの開発,(3)地理情報科学の教育のためのシステム設計,(4)諸学問への応用,(5)社会への普及促進方法の開発,の5つのサブテーマから構成される.

    (1)地理情報科学の教授法の開発

     地理情報科学を構成する要素は以下のように整理できる.17年度は,各要素について,(a)教育すべきコンテンツの抽出と教材の体系化を行う.

      ・実世界の概念モデル化
      ・地理データモデル
      ・地理データ取得
      ・地理データ編集
      ・地理データ分析
      ・地理データの可視化
      ・地理データの視覚的伝達

    (2)地理情報科学の教育コンテンツの開発と体系化

     現段階では,地理情報科学の教育は,学部や研究科などの教育組織毎に該当科目を独自に設置されている場合が多い.しかし,総合大学においては学部・大学院間における連携や共通科目の設置,学部と大学院の一貫教育などにより,より効率的かつ効果的な教育を行うことが期待できる.
     そこで,17年度は,以下の3つの作業を進める.

    (a)各大学の地理情報科学教育の実態調査
     主要な総合大学における地理情報科学教育の実態を調査し,分野別の教育体系・科目構成と教育内容の関係を分析・整理する.

    (b)地理情報科学の体系的教育コンテンツの試作
     地理情報科学教育の再編成を試み,体系的な教育を行うための教育コンテンツの試作を行う.教授法の体系化,TSUKUBAモデルの開発,特に,地理情報科学の社会との関わり(例えば,市町村合併問題など)や整備されている空間データ(例えば,国勢調査,地域メッシュ統計など)などにおける日本の特質を考慮し,欧米の教授法とは異なる独自の日本型教授法について配慮する.

    (c)基盤分野,応用分野の峻別と教育コンテンツの階層的構造化
     (b)の作業を元に,学際的な地理情報科学の共通部門としての基盤分野と,各専門領域部門としての応用分野に分類し,教育コンテンツの階層的な構造化を行う.

    (3)地理情報科学の教育のためのシステム設計

     教育コンテンツを支える具体的な教材開発のために,17年度は以下の3つの作業を進める.

    (a)教育用支援ソフトウェア・システムとの統合
     空間統計学やリモートセンシング,地球測位システム(GPS)などの教育用支援ソフトウェアやシステムと統合した地理情報処理環境の設計方針を定める.

    (b)ハードウェア構築とネットワーク化
     共通基盤としての共通ハードウェアと多人数(40〜50名)の教育を可能とする端末機器および学内教育用GISネットワーク構築の検討を行い,サイトライセンス導入による総合大学における教育システムの設計方針をまとめる.

    (c)教育用地理データの整備とクリアリングハウスの構築
     地理情報科学教育に必要なデータリストの作成と整備の優先順位の検討,およびクリアリングハウスのフレーム設計を行う.

     以上の研究を支えるハードウェアおよびソフトウェアとして,地理情報システムのサイトライセンスを導入する.サーバを設置することにより,筑波大学学内において任意の端末室や教室,研究室でGISソフトを利用できる環境を整備する.

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  3. 研究計画と方法(平成18年度)

     平成18年度は,(1)教授法の開発,(2)教育コンテンツ開発,(3)教育システム設計の3つについて,具体的な教材作成とその体系化を進めるとともに,(4)諸学問への応用について研究を開始し,広範にわたる研究組織構成員の専門分野における地理情報科学の教授法について研究を推進する.

    (1)教授法の開発
     地理情報科学を構成する各要素について,Aで開発した教育コンテンツを用いて,(b)具体的な教材を活用した教授法の開発を行う.分担は,平成17年度と同様である.

    (2)教育コンテンツ開発
     地理情報科学の体系的な教育を実現するための(d)基盤分野の科目構成,および(e)応用分野の類型化と科目構成の検討を行い,総合大学としての筑波大学における地理情報科学教育の充実・高度化について検討する.

    (3)教育システム設計
     前年度に検討した基本設計方針を踏まえて,具体的な(d)教育用ソフトウェアの開発,および(e)教育用クリアリングハウスの構築を行う.

    (4)地理情報科学の諸学問への応用
     諸学問分野での地理情報科学の位置づけを整理した上で,(a)ガイドラインの構築,(b)教材研究,(c)事例集の作成について,検討を進める.

  4. 研究計画と方法(平成19年度)

     平成19年度は,(3)教育システム設計,(4)諸学問への応用について,具体的システムの実現化を進めるとともに,こうした教授法および支援システムの(5)社会への普及促進方法の開発について検討を行う.

    (3)教育システム設計
     新たな地理情報科学教育システムとして,(f)TSUKUBAモデルの開発を行い,システム実現化を行うとともに,それを用いた教授法適用における(g)インストラクタおよびTAの教育と啓蒙方法について検討を行う.

    (4)諸学問への応用
     前年度の成果を用いた(d)専門教育コンテンツの階層的教育コンテンツのコース別典型的メニューを作成する.

    (5)地理情報科学の社会への普及促進方法の開発
     作成・構築した教授法および教育システムを実践していくために,(a)学校教育,生涯教育における活用方策,(b)コミュニティ活動における活用方策,および(c)行政業務への導入方策について,世界的先進事例を調査しながら,日本型地理情報科学教育システム(JGISES)の普及方策を検討する.

  5. 研究計画と方法(平成20年度)

     平成20年度は,作成・構築した日本型地理情報科学教育システムのCD-ROM化と,その普及促進方策について検討を行い,教授法の普及・活用効果について評価を行う.

    (3) 教育システム設計
     これまでの成果をとりまとめ,一連の(h)教材パッケージのCD-ROM化を行う.

    (5)社会への普及促進方法の開発
     教材の公開方法として,(d)Webによる公開方法の検討と実施を行うとともに,(e)CD付き教科書としての出版の検討を行う.Webによる公開については,米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のMITオープンコースウェア(MIT OpenCourseWare, OCW)のような公開を目指す.これは,同大学のほぼ全講義の教材をインターネット上で無償公開するプロジェクト(http://web.mit.edu/ocw/)であり,教室における教員と学生との相互作用やキャンパスにおける学生同士の交流が学習過程において最も重要であるとの理念のもとに行っているものである.教育内容を世界に向けて広く公開することが将来性のある学生を惹き付けると考えており,単位認定を伴うオンラインコースではなくMITの教育を補佐するためのコースマテリアルとして明確に位置づけられている.CD付き教科書に関しては,出版に向けて活動を行う.以上の活動を通して,わが国における地理情報科学教育の共通資源へと発展することを目指す.

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